2293、耳我嶺考(継続中)

2293、〔追記、「ただか」について、容貌という意味かと言ったが、「童蒙抄」の「みかね」の注で、「容貌有樣の事に聞ゆ」とあった。〕天武歌で、「耳我嶺に雨や雪がしょっちゅう降るように、しょっちゅう、どの曲がり角も落とさず、思いながらやってきた、…

2292、耳我嶺考(継続中)

2292、17、垣見修司、天武天皇御製歌と巻十三の類歌、萬葉語文研究第3集、和泉書院、2007.6.30これは直接坂本氏の論をうけたものである。坂本信幸氏「…」では、それらの歌群に見られる表現の考察を通して、いくつかの問題が解決し、天武天皇の心情を詠んだ歌…

2291、耳我嶺考(継続中)

2291、(前回の補足、曾倉説は、全注巻一三でも論じられているが、D(みかね)を最初とする説に後退が見られる。坂本説の「直香」の新しさを認めて、一番古いが、一部変形を受けたとする。また、これも坂本説を受けたのか、天武の個人詠も留保している)。16…

2290、耳我嶺考(継続中)

2290、9、耳我の嶺の山道――万葉集二五番歌の構造と背景――、都倉義孝、国文学研究 早稲田大学国文学会 通巻48 1972.10。論点をまとめて、(1)「来」は「来し」と訓むべきか。「来る」と訓むべきか。(2)「其山道」は回想の場面か、眼前の景か。すなわち、詠者…

2289、耳我嶺考(継続中)

2289、8、萬葉集の構造と成立 上 古代和歌史研究1、伊藤博、塙書房、1974.9.30(88.9.20.4p)、第六章 万葉集における歌謡的歌巻、第一節 宮廷歌謡の一様式――巻十三の論――、1960.3初出この論は題名で分かるように巻13の歌の性質を論じたもので、それを宮廷…

東京、長野、奈良、和歌山の人口

2021年7月東京都、1404,9146人、2418人減。長野県、202,2625人、814人減、世帯数は237増。奈良県、131,5605人、701人減。世帯数は85増。増えたのは、高田80、葛城8、平群5、川西4、曽爾4、王寺3、広陵18、上北山1、下北山6の9。和歌山県、91,5720人、662人…

2288、耳我嶺考(継続中)

2288、6、「初期万葉」、阪下圭八、平凡社、1978.5.17、天武天皇の吉野の歌このころになると著名な論文も増えて、阪下氏の引用されたものも多く、氏の文も長くて複雑だ。まず氏の引用されたものは、松田好夫(検討済み)沢瀉久孝(検討済み)・西郷信綱(万…

2287、耳我嶺考(継続中)

2287、4、「萬葉歌人の誕生」澤瀉久孝、平凡社、1956.12.25、所収、「天武天皇御製攷(初出、關西大学「國文學」第九號】)D(みかね)の 「間もおちずわれはぞ戀ふる妹がたゞかに」の「間もおちず」は、「既に「間なきが如」「時じきが如」とある句から直接…

2286、耳我嶺考(継続中)

2286、耳我嶺の歌(25番)で一番人気のある話題は、巻13の類歌との関係である。地名考とは縁が薄いが、やはり一応点検する価値はある。といってもよく知られた論考を理解するだけでも大変な作業だ。25 三吉野之 耳我嶺爾 時無曾 雪者落家留 間無曾 雨者零…

2285、耳我嶺考(継続中)

2285、音訓混用表記の地名というのは、例外的なものだという通念から言うとかなり多かったように思える。耳我というのを「みみガ」、つまり訓音表記の地名とする説を検証するために、ほかの訓音表記をまとめてみる。角太(すみダ)(弁基(春日蔵首老))、…

2284、耳我嶺考(継続中)

2284、巻4、稲日都麻(509)。これは「いなび+つま」であることが明らかで、「稻日」は訓+訓で、有名な地名の印南のこと。「つま」は「端(はし)」という意味の、一種の地形語で、この場合は、島とか州(す)とかいう意味らしい。正字では表しにくいので…

東京、長野、奈良、和歌山の人口

2021年6月東京都、1395,7977人、5079人減。再び減少に。長野県、202,3439人、735人減、世帯数は541増加。奈良県、131,6306人、790人減。世帯数は79増。増えたのは、葛城43、川西5、三宅1、田原本5、曽爾4、明日香2、上牧9、王寺21、広陵27、黒瀧6、上北山2…

2283、耳我嶺考(継続中)

2283、巻3以降でよくでるものに「かむなび」がある。これは普通名詞と固有名詞がある。神名備山(324、1419、1937、1938、3228)、神名火山(969、1466、2162、2657、2715、3224、3266)、甘南備(1125、1435、2774、3223、3227、3230)、神邊山(1761)、…

2282、耳我嶺考(継続中)

2282、古義、本居氏が渡津村という地名の存在から、ワタヅノと4音に読めと言っている。註疏、古義と同じ。新考、古義と同じ講義、宣長説とは言っていないが、古義同様宣長説の引用。全註釈、ワタヅは渡津で、航海する船の發著地である。或る本は良い伝来で…

2281、耳我嶺考(継続中)

2281、訓のみ表記の地名では、表記が地名の語原を示すものが多いが、そうでない、いわゆる当て字も結構ある。興味をひくものもあるが、本筋からはなれるので割愛するとして、訓として出した、「越(をち)(194)、越(をち)野(195)」は「をち」というの…

東京、長野、奈良、和歌山の人口

2021年5月東京都、1396,3056人、5877人増。長野県、202,4174人、101人増、世帯数は2376増奈良県、131,7096人、335人減。世帯数は1446増。増えたのは、奈良164、郡山13、天理284、三郷24、三宅1、王寺26、黒瀧2、野迫川6、十津川13、上北山9、下北山2の11。…

2280、耳我嶺考(継続中)

2280、香具山とくれば、大和三山の残り二つも興味が湧く。国風だと言ったが、具体的にはどうだろうか。畝火(うねび)之山・乃山(29、52、207)雲根火(うねび)音訓訓(13)とあって、香具山のような音のみというのがなく、かわりに音訓混用がある。どちら…

2278、2279、耳我嶺考(継続中)

2278、古代地名に、音訓混用というのは少ないと言われる。万葉集にも例外的にあるのは以前に触れたと思うが、耳我嶺の耳我(みみが)というのが、訓(みみ)+音(が)の音訓混用で、例外的だということは今まで見てきた注釈類で触れたものが一つもない。不…

2277、耳我嶺考(継続中)

2277、「隈毛不落 念乍叙来 其山道乎」というのは、「山道」とあるように、奈良から明日香までの道中ではない。明日香から峠を越えて吉野の宮瀧に出る間は、まさしく山道であり、特に峠の前後は曲がり角が多い(ジグザグ)。ところが、吉野の耳我嶺(おそら…

2276、耳我嶺考(継続中)

2276、遠望となると、どこからか、そして、それは今の何という山か、ということになる。明日香藤原から吉野郡の山は見えないから、芋等(あるいは、龍在峠、細峠)からとなるが、地図上の計算では、弥山及び山上が岳が見える。ただし途中にいくつかの高い山…

東京、長野、奈良、和歌山の人口

2021年4月東京都、1395,7179人、1,5155人増。久々の大増加。長野県、202,4073人、4612人減、世帯数は1314増加。大きな反比例。奈良県、131,9305人、1118人減。世帯数は1124増。増えたのは、葛城(38)だけ。一つだけだがそこの増加数が大きい。世帯数は凄ま…

2275

2275、11-2694、…一峯越 一目見之兒尓…(これは問題だ)11-2698、…山越置代…(これもちょっと問題) 2694▼(あしひきの) 山鳥の尾の一峰越えて 一目見たあの娘に こうも恋い焦れてよいものか2698▼行って見て 帰って来るともう恋しくなる 浅香潟を …

2274

2274、雨や雪の降る耳我嶺を、吉野川以南の高峰とするにせよ、芋峠や細峠辺りにするにせよ、或いは窪垣内あたりにするにせよ、そこを歩いて越えたように解している説がほとんどで、奥野のように、耳我嶺を歩いて越えたのではなく、耳我嶺に通じる街道を歩い…

2273

2273、〇萬葉集新講(改訂版)、特に何もない。江戸時代からの説を要約しているだけ。〇久松秀歌、題詞からすると近江から吉野へ行ったときではなく、あとの歌の八年五月でもない。そのまえに書紀にない行幸(即位後)があって、近江から吉野へ行ったときの…

2272

2272、〇金子評釈、「御金の高《タケ》は吉野山の最高峯で、金《カネ》の御嶽《ミタケ》即ち金峯山のこと。(巻十三の類歌に)御金高爾《ミカネノタケニ》」とあるので、今は四言にかく訓んでおく。」というので、何を見かねたのか「ミカネニ」と読むのだと…

東京、長野、奈良、和歌山の人口

2021年3月東京都、1394,2024人、10891人減。減少傾向が止まらない。長野県、202,8685人、1487人減、世帯数は5増加奈良県、131,9305人、1118人減。世帯数は241減。増えたのは、香芝、葛城、三郷、斑鳩、安堵、三宅、田原本、明日香、天川、の9つ。増加市町村…

2271

2271、〇新考、「守部雅澄はミガネノタケとよみたれど理由薄弱なり。なほ考に字のまゝにミミガノミネとよめるに從ふべし」簡潔だ。ただし考の「御缶(ミミガ)」説には何も言わない。春滿季吟などの説に東宮を辭して吉野に入り給ひし時のとせるを古義に戀の…

2270

2270、甕《ミカ》というのは、甕《カメ》のことで、本来「カ」だけでその意味がある。だから、ミ・ミカというのは、ミ・ミ・カとなって、敬称の「ミ」が二重になるというのもおかしい(後述の古義の説)。なお、ミカというのがカメだとすると、縦長の紡錘型…

2269

2269、 今まで何度か耳我嶺には触れてきたし、字足らずの調査で注釈書の読みを全部調べたこともある。繰り返しになる部分もあるだろうが、久し振りに全部見てみよう。といってもこの山については、もう何十年も前から幾度か未定稿にしているが。 仙覚抄、「…

2268

2268、結局巻1の大和の地名といっても、和名抄にあるもの、大和志に記載され、その時代に於いて確実に存在したもの(それは現在も存在する)、は、万葉の時代から消滅せずに使い続けられたもので、信頼できるものである。また、和名抄にも、大和志の村里に…