2208~2210

2208、2209、2210
1-5、…網の浦の 海人娘子らが 燒く塩の… 軍王、香川
3-278、志賀の海女は藻刈り塩燒き暇なみ櫛笥の… 石川少郎、福岡
3-354、縄の浦に塩燒く煙夕されば… 日置少老、兵庫
3-366、…手結が浦に 海女娘子 塩燒く煙… 笠金村、福井
3-413、須磨の海女の塩燒き衣の藤衣… 大網公人主、兵庫
6-935、名寸隅の 舟瀬ゆ見ゆる 淡路島 松帆の浦に 朝なぎに 玉藻刈りつつ 夕なぎに 藻塩燒きつつ 海人娘女 ありとは聞けど… 笠金村、兵庫
6-938、…印南野の 大海の原の 荒栲の 藤井の浦に 鮪釣ると 海人舟騒き 塩燒くと 人ぞさはにある 浦をよみ うべも釣りはす 浜をよみ うべも塩燒く あり通ひ 見さくもしるし 清き白浜 山部赤人、兵庫
6-947、須磨の海女の塩燒き衣の… 山部赤人、兵庫
7-1246、志賀の海人の塩燒く煙風をいたみ… 古歌集、福岡
11-2622、志賀の海人の塩燒き衣なれぬれど… 福岡
11-2742、志賀の海人の煙燒き立て燒く塩の… 或云石川君子,福岡
12-2971、大君の塩燒く海人の藤衣なれはすれども…
15-3652、志賀の海人の一日もおちず燒く塩の… 遣新羅使、福岡
17-3932、須磨人の海辺常去らず燒く塩の… 平群女郎、兵庫
長歌は、金村の3-368の手結が浦、同じ金村の6-935の淡路島松帆の浦、赤人の6-938の
藤井の浦の三首。金村はどうも遠景が好きなようだ。
志賀5、須磨3、縄の浦1、藤井の浦1、松帆の浦1、網の浦1、手結が浦1,不明1。圧倒的に、志賀と須磨が多い。名所である。あとは、播磨2,淡路1,讃岐1と瀬戸内海東部が多く、後世の製塩業の盛んな所でもある。そして敦賀が1となる。金村は瀬戸内海で見慣れた塩焼く乙女の姿を敦賀でも見たことになる。作者では、金村、赤人が目立ち、人麻呂、憶良、家持といった他の有名歌人にはない。赤人、金村は庶民に近い作家なのだろう。
「万葉田結ケ浦の塩」と命名。1袋200グラム入りの500円で…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44234660W9A420C1CR0000/
今は何でもビジネスだな。若かった頃、木ノ芽峠北の鉢伏山から、帰(南今庄)までスキーで滑り降りた道が、今は万葉の道となっているそうだ。
福井県史によると、古代、若狭、越前にかけて製塩業が非常に盛んで、大和へも輸送されたそうだ。金村は民間の産業にも詳しかったのだろう。