2167~2169

2167、
集中の「之」の用例。題詞、左注は除く。音仮名の「之(シ)」訓字の「之(の)」は除く。地名の場合は「之(の)」も出す。
1-5、海處女等之(あまおとめらが) 燒塩乃
1-9、吾瀬子之(わがせこが) 射立爲兼
1-10、君之齒母(きみがよも) 吾代毛
1-20、君之袖布流(きみがそでふる)
1-28、天之香來山(あめのかぐやま)
1-29、畝火之山乃(うねびのやまの)
1-34、濱松之枝乃(はままつがえの) 手向草
1-40、※[女+感]嬬等之(をとめらが) 珠裳乃須十二
1-47、過去君之(すぎにしきみが) 形見
1-53、處女之友者(をとめがともは) 乏吉呂賀聞
1-60、氣長妹之(けながくいもが) 廬利
1-66、松之根乎(まつがねを) 枕宿杼
1-67、鶴之鳴毛(たづがねも) 不所聞
1-78、君之當者(きみがあたりは) 不所見
1-83、妹之當見武(いもがあたりみむ)
以上巻一、すでに言われているように、「をとめ」「せこ」「きみ」「いも」といった親しみをこめた人称に使うのが多い。それ以外では「まつ」「たづ」といった親しまれた動植物がある。地名は「が」はなく、「の」が二つ。
2168、
2-85、90、君之行(きみがゆき) 氣長成奴
2-91、妹之家毛(いもがいへも) 繼而見
2-106、如何君之(いかにかきみが) 獨越武
2-108、君之沾計武(きみがぬれけむ) 足日木
2-113、玉松之枝者(たままつがえは) 波思吉…君之御言乎(きみがみことを)
2-123、妹之髪(いもがかみ) 此來
2-124、君之見師髪(きみがみしかみ) 亂有
2-131、一云 …妹之手本乎(いもがたもとを)…妹之門將見(いもがかどみむ)
2-136、妹之當乎(いもがあたりを) 過而
2-137、妹之當將見(いもがあたりみむ)
2-138、妹之手本乎(いもがたもとを)
2-141、濱松之枝乎(はままつがえを) 引結
2-146、君之結有(きみがむすべる) 磐代乃
2-166、令視倍吉君之(みすべききみが) 在常
2-175、佐日之隈廻乎(さひのくまみを)
2-199、眞神之原爾(まかみのはらに)…鷄之鳴(とりがなく) 吾妻…百濟之原從(くだらのはらゆ)
2-205、五百重之下爾(いほへがしたに)
2-206、常丹跡君之(つねにときみが) 所念有
2-207、吾妹兒之(わぎもこが) 里爾思…吾妹子之(わぎもこが) 不止…妹之名喚而(いもがなよびて)
2-210、茂之如久(しげきがごとく) 念有之…吾妹子之(わぎもこが) 形見…念之妹之(おもひしいもが) 珠蜻
2-213、吾妹子之(わぎもこが) 形見
2-219、凡津子之(おほつのこが) 相日
2-220、自伏君之(ころふすきみが) 家知者
2-223、不知等妹之(しらにといもが) 待乍
2-228、妹之名者(いもがなは) 千代爾
2-229、妹之光儀乎(いもがすがたを) 見卷
2-233、君之形見爾(きみがかたみに) 見管
さすがに、相聞、挽歌の部だけに、「きみ」「いも」が大量に出た。地名は「の」が3つだが、175は疑わしい。
2169、
3-250(一本)、251は検討済み。二つの「之」は「の」と読む。
3-257、天之芳來山(あめのかぐやま) 霞立
3-265、神之埼(みわのさき) 狹野
3-286、吾背乃君之(わがせのきみが) 負來
3-296、見穗之浦乃(みほのうらの) 寛
3-302、兒等之家道(こらがいへぢ) 差間遠焉
3-306、〓而妹之(つつみていもが) 家〓
3-318、田兒之浦從(たごのうらゆ) 打出而
3-326、明石之浦爾(あかしのうらに) 燒火乃
3-327、宇禮牟曾此之(うれむぞこれが) 將死還生
3-334、忘之爲(わすれむがため)
3-352、鶴之哭鳴而(たづがねなきて) 湖風
3-360、家妹之《いへのいもが》 濱〓
3-367、手結之浦矣 今問題にしている、「の」「が」両説がある。
3-375、夏實之河乃(なつみのかはの) 川余杼爾
3-382、鷄之鳴(とりがなく) 東國爾
3-402、吾妹子之(わぎもこが) 將結標乎
3-408、石竹之(なでしこが) 其花爾毛我
3-411、吾妹兒之(わぎもこが) 屋前
3-412、君之隨意(きみがまにまに)
3-415、妹之手將纒(いもがてまかむ) 草枕
3-421、君之臥有(きみがこやせる)
3-425、公之阿流久爾(きみがあるくに)
3-431、眞間之手兒名之(ままのてこなが) 奥槨乎…松之根也(まつがねや) 遠久寸
3-432、間々能手兒名之(ままのてこなが) 奥津城處
3-443、香君之(にほへるきみが) 牛留鳥
3-446、吾妹子之(わぎもこが) 見師鞆浦之
3-453、吾妹子之(わぎもこが) 殖之
3-463、君之云者(きみがいへば)
3-464、妹之殖之(いもがうゑし)
3-466、妹之有世婆(いもがありせば)…消去之如久(けぬるがごとく)
3-469、妹之見師(いもがみし)
3-474、吾妹子之(わぎもこが) 奥槨
3-481、吾妹子之(わぎもこが) 入爾之
ここも、相聞、挽歌が多いので、大量に、「妹」「君」が出た。地名は既出も入れて、9例ある(延べ数)。このうち、「野島の崎」「手結の浦」は、説が分かれ、「が」説もある。「神之埼」も「が」説がありそうであるが、他は「の」でよいだろう。
そのうち、「浦」が三つもあり、見穗之浦、田兒之浦、明石之浦、すべて「の」なのが、参考になる。