2264

2264、
ノの読み添えをするもの。
 耳我(ノ)嶺(25)、耳我(ノ)山(26)
 淡海(ノ)國(29)、大津(ノ)宮(29) 泊瀬(ノ)山(45)
 住(ノ)吉(65)
 山(ノ)邊(81)
ノを表記するもの。
 天乃香具山(2)、天之香来山(28)、
 八間跡能國(2)、
 網能浦(5)
 阿胡根能浦(12)
 畝火之山(29)
 三輪乃山(17)
 奈良能山(17)
 射等籠荷四間(23)、伊良虞能嶋(24)、五十等兒乃嶋(42)
 吉野乃國(36)
 吉野乃河(37)
 吉野乃山(52)
 淡海乃國(50)
 思賀乃辛碕(30)
 勢能山(35)
 嗚呼見乃浦(40)
 手節乃埼(41)
 隠乃山(43)
 去来見乃山(44)
 泊瀬乃川(79)
 泉乃河(50)
 (藤井我原(52))
 安礼乃埼(58)
 高師能濱(66)
 象乃中山(70)
ノの読み添えは、わずか7例で、これだけでは言えることなどなさそうだが、淡海(ノ)國(29)、大津(ノ)宮(29) 泊瀬(ノ)山(45)は、いずれも柿本人麻呂長歌で、類似の地名でも、人麻呂以外の、淡海乃國(50、役民歌)、泊瀬乃川(79、作主未詳)の場合ノが表記されている。人麻呂の長歌でも、36の吉野乃國は「ノ」が表記され、また29では「畝火之山」で「ノ」が表記されている。住(ノ)吉(65)、山(ノ)邊(81)は、前者は摂津で、大和の人にもよく知られていたであろうし(だから、スミヨシと誤読される心配はない)、後者は伊勢で、現地を知る人以外にはほとんど知られない地名だろうが、山邊は当時、だいたいヤマノベと読まれたようで、ヤマベと読まれる恐れはなかっただろう。
その他、短歌ではおおかた表記されている。よく知られた地名もあるが、大方はあまり知られない小地名である。ということで、ほとんど誰も知らないような、耳我(ノ)嶺(25)、耳我(ノ)山(26)が、「ノ」を表記しないのは異様である。「ミミガミネ」「ミミガヤマ」と読めば字足らずになるから、表記がなくても、「ミミガノミネ」「ミミガノヤマ」と読まれるというかも知れないが、他の多くある「ノ」表記のものも、表記がなかったとして、字足らずに読まないという原則に従えば、「ノ」をいれて読めるから、無表記でもいいはずなのに、表記されている。だとすれば、「耳我嶺」も「ノ」を表記するべきだろう。