地名の「の」「が」

1921、
地名の「~が~」「~の~」。古代の固有名詞には、「~」だけでなく、間に「が」「の」を入れたのが多い(今でも捜せば紀ノ川などいろいろある。)。その違いについては辞典などにも説明されているが、一度全用例を見てみたい。
巻1
「の」が略せないもの、「山跡乃國」「天乃香具山」「淡海國」等は除く。
「~の~」
阿胡根能浦(12)、三輪乃山、奈良能山(17)、射等籠荷四間(23)、伊良虞能嶋(24)、畝火之山(29)、吉野乃河(37)、嗚呼見乃浦(40)、手節乃埼(41)、五十等兒乃嶋邊(42)、隱乃山(43)、去来見乃山(44)
「の」を読み添えするもの。
耳我嶺(25)、耳我山(26)、
(続く)
これらを見ても簡単ではないことがわかる。吉野乃河などは。略せない「の」のように見えてもすぐ次の歌に「芳野川(ヨシノガハ)」とある。三輪山、奈良山、畝傍山も同様。隱乃山などは、名張山(ナバリヤマ)というのはなさそうだからどうとも言えない。阿胡根能浦、嗚呼見乃浦、手節乃埼、五十等兒乃嶋邊、去来見乃山も、「の」のない形では出ないようだ。中には音数の関係で「の」を付けたというのもありそうだ。読み添えは今日は一例しかないが、微妙だ。「耳我嶺」などは「ミミガノミネ」と読まれているが「ミミガミネ」とも読める。音数の関係で、どうしても「ミミガノミネ」でなければならないこともない。一音足りない句などはいくらでもある。