1983、
膨大な分量で数字にしにくい。ざっと見たところ、すでに少し触れたように、「の」のない「~」、つまり複合名詞(蜂矢真郷氏の用語)とか漢語的な語の方がはるかに多いように見える。
「~の~」だけのもの。
三垣乃山、畝火之山、小倉乃山、三毛侶乃山、病足乃山、引手乃山、吉野乃山、三船乃山、高城乃山、去来見乃山、羽易乃山、巻来乃山、平群乃山
草香乃山、勢能山、妹背乃山、絲鹿乃山、小為手乃山、隱乃山、網兒之山、大江乃山、あきなのやま、はこねのやま、鳥籠之山、三野之山、うすひのやま、みかものやま、うらののやま、絶等寸笶山、作美乃山、紀能夜麻、大城乃山、志賀乃山、藐孤射能山、渡乃山、屋上乃山、すかのやま
大和13 大和以外24
「~の~」「~」両形のあるもの。(「の」読み添えのも含む)
倉橋乃山→倉椅山2:1
三輪乃山→三輪山1:3
始瀬乃山→泊瀬山8:2
振乃山→振山1:3
奈良能山→平山3:11
佐保能山→佐保山1:4
春日之山→春日山10:9
御笠乃山→御笠山13:3
高圓乃山→高圓山2:3
裁田之山→立田山5:8
いこま乃山→射駒山1:4
鹿脊之山→鹿脊山2:2
妹之山→妹山2:1
築羽乃山→つくはやま4:1
ふたがみのやま→二上山2:7
鏡山(かがみのやま)→鏡山1:1
後瀬山(のちせのやま)→後湍山1:1

両形のとあわせて、「~の~」は、大和24,大和以外30。両形では大和以外のは少なかったが、「~の~」だけのを加えると、大和以外のが逆転した。なお両形の最後の読み添えの2例などは明らかに、音数の関係で、両形になったもの。ほかにもそういうものが多く、「の」がつくかつかないかは、おおかた音数の関係によると言えるようだ。つまりどっちでも意味的に変わりはないのがおおかた。ただし実際に読んだ感じでは、「の」のあるほうが、優雅(遠回しに言う)で思い入れが強くなる傾向がある。