2001、2002、2003、2004、2005、2006
古事記伝(筑摩の全集版)の読みとの比較、西郷古事記注釈の読みとの比較。古事記伝に準拠といいながら、しばしば違うところがあるが、一部を除いて、変えた理由を言わない。西郷の場合、違うときだけ注記。
高千嶺(たかちほのたけ)→高千(ノ)嶺(ニ)、西、たかちほのみね
淤能碁呂嶋(おのごろじま)→オノゴロシマ、大御歌(仁徳の歌謡の「志摩」だろう)で清音の「志」を使っているから。
淡嶋(あはしま)、狹別嶋(さわけのしま)、二名嶋(ふたなのしま)、三子嶋(みつごのしま)、筑紫嶋(つくしのしま)、伊伎嶋(いきのしま)、津嶋(つしま)、佐渡嶋(さどのしま)、大倭豐秋津嶋(おほやまととよあきづしま)、吉備兒嶋(きびのこじま)→同、西、あはしまを普通名詞とする。
小豆島(あづきじま)→アヅキシマ、西、あづきしま
大嶋(おほしま)、女嶋(ひめじま)西、ひめしま、知※[言+可]嶋(ちかのしま)、兩兒嶋(ふたごのしま)、香山(かぐやま)、比婆之山(ひばのやま)、比良坂(ひらさか3)→同
伊賦夜坂(いふやさか)→イフヤザカ
阿波岐原(あはきはら)→アハギハラ、西、あはきはら
肥河(ヒノカハ)追加
氣多之前(けたのさき)、氣多前(けたのさき)、淤岐嶋(おきのしま)、宇迦能山(うかのやま)→同
御諸山(みもろやま2)→ミモロノヤマ、西、みもろやま
日枝山(ひえのやま)、藍見河(あゐみがは)、喪山(もやま)、久士布流多氣(くじふるたけ)→同
高千穂山(たかちほのやま)→タカチホヤマ、西、たかちほのやま
中巻
速吸門(はやすひのと)→ハヤスヒナド 書紀に速吸名門とある。西、はやすひのと
楯津(たてつ)→楯津(タテヅ)追加、西、たてつ
蓼津(たでつ)→蓼津(タデツ)同 追加
竈山(かまやま)→同
熊野の山(振り仮名なし)→熊野山(クマヌノヤマ)追加、西、くまののやま
吉野河(よしのがは)→エシヌガハ、西、よしのがは
※[言+可]夫羅前(かぶらざき)、伊那佐能夜麻(いなさのやま)→同
高佐士野、多加佐士怒(たかさじの)→タカサジヌ、西、たかさじの
狹井河、佐韋賀波(さゐがは)、畝火山(3)、宇泥備夜麻(うねびやま2)、衝田岡(つきだのをか)、眞名子谷(まなごだに)→同
博多山(はかたやま)→ハカタノヤマ 、西、はかたやま
馬坂(ウマサカ)追加、西、読みなし。
玉手岡(たまでのをか)、西、読みなし、「玉手」は「たまて」と読む、劔池(つるぎのいけ2)→同
伊邪河(いざがは)→イザカハ、西、いざかは
喪伏岡(モフシノヲカ)追加
御諸山(ミモロヤマ)追加
美和山(みわやま)同
幣羅坂(ヘラザカ)、丸邇坂(ワニサカ)追記、西、どちらも「坂」の清濁不明。
和※[言+可]羅河(わからがは)、西、「河」の清濁不明、鵜河(うかは)、西、読みなし、依網池(2)、余佐美能伊氣(よさみのいけ)、酒折池(さかをりのいけ)、血沼池(ちぬのいけ)、狹山池(さやまのいけ)、高津池(たかつのいけ)、市師池(いちしのいけ)、輕池(かるのいけ)、鷺巣池(さぎすのいけ)同
甜白檮之前(アマカシノサキ)追記
肥河(ひのかは2)同
御立野(みたちの)→ミタチヌ、西、みたちの
淡水門(アハノミナト)追記
坂手池(さかてのいけ)、阿米能迦具夜麻(あめのかぐやま)、伊服岐能山(いぶきのやま)、杖衝坂(つえつきざか)、尾津前、袁都能佐岐(をつのさき)、幣具理能夜麻(へぐりのやま)、血浦(ちうら)同
宇遲野(ウヂヌ)、葛野、加豆怒(カヅヌ)追加、西、どちらも、「ヌ」が「の」。
伊知遲志麻(いちぢしま)同
美志麻(ミシマ)追記
百濟池(くだらのいけ)、※[言+可]和羅之前、※[言+可]和羅前(かわらのさき)、那良山(ならやま)同
阿具奴摩(あぐぬま)同
伊豆志河(いづしかは)→イヅシガハ、西、いづしかは
下巻
丸邇池(わにのいけ)、淡道嶋(あはぢしま4)、阿波志摩(あはしま)、淤能碁呂島(おのごろしま)、阿遲摩佐能志摩(あぢまさのしま)、佐氣都志摩(さけつしま)、御津前(みつのさき)、夜麻志呂賀波(やましろがは)、倉椅山、久良波斯夜麻2(くらはしやま)同
日女嶋(ひめじま)→ヒメシマ、西、ひめしま
兎寸河(ときがは)→  カハ 兎寸の読みを示さず。西、とのき河 
高安山(たかやすやま)→タカヤスノヤマ、西、たかやすやま
由良能斗(ゆらのと)、耳原(みみはら)、
多遲日野、多遲日怒(たぢひの)→タヂヒヌ、西、たぢひの
波邇賦坂、波邇布邪釈(はにふざか)同、
毛受野(もずの)→モズヌ、西、もずの
波佐能夜麻(はさのやま)同
阿比泥能波麻(アヒネノハマ)追記
波都世能夜麻(はつせのやま)、波都勢能賀波(はつせのかは)、蚊屋野(かやの2)、玖須婆之河(くすばのかは)、呉原(くれはら)、幣具理能夜麻(へぐりのやま)、美和河(みわがは)、久佐迦延(くさかえ)同
吉野川(よしのがは)→ヨシヌガハ、西、読みなし
阿岐豆野(あきづの2)→アキヅヌ、西、あきづの
袁牟漏賀多氣(をむろがたけ)、葛城山(かづらきやま)同
金※[金+且]岡(かなすきのをか)→カナスキヲカ、西、かなすきのをか
飛鳥河(アスカガハ)、石坏岡(イハツキノヲカ)追記
西郷との対校は慣れるまでは探しにくく、意欲も湧かなかったので時間ばかりかかった。ようやく終わったが、だいたい岩波文庫と同じで、時々古事記伝の方に従ったのがある。清濁の違いや「の」の読み添えなどもどちらかで統一ということもない。また違うところも根拠は何一つ示さないから、どちらがいいのかも分からない。二、三どちらでもないユニークなのもあったが、だいたい岩波文庫の読みで、次の仕事にかかっても良さそうだ。