2000、
古事記万葉集にくらべてデータ量がはるかに少ないのに結構かかった。古事記伝と比較したために、あの小さい振り仮名を読むのに手間取った(終わり近くなって、その探し方が分かったが、時既に遅し)。結局岩波文庫との違いは、例の野(の)をヌと読むのを除けば、あまりなく、読み添えの有無、清濁の違いといったものだった。
全く違うもの
速吸門(はやすひのと)→ハヤスヒナド
吉野河(よしのがは)→エシヌガハ
清濁の違い
淤能碁呂嶋(おのごろじま)→オノゴロシマ
小豆島(あづきじま)→アヅキシマ
伊賦夜坂(いふやさか)→イフヤザカ
阿波岐原(あはきはら)→アハギハラ
楯津(たてつ)→楯津(タテヅ)
伊邪河(いざがは)→イザカハ
伊豆志河(いづしかは)→イヅシガハ
日女嶋(ひめじま)→ヒメシマ
兎寸河(ときがは)→  カハ
「の」読み添えの有無
御諸山(みもろやま2)→ミモロノヤマ
高千穂山(たかちほのやま)→タカチホヤマ
博多山(はかたやま)→ハカタノヤマ
高安山(たかやすやま)→タカヤスノヤマ
金※[金+且]岡(かなすきのをか)→カナスキヲカ
清濁の違いがかなりあるが、連濁のようでもあり、そうでないようでもありはっきりしない。読み添えも同じ。岩波文庫以外の最近の注釈書を見たいが、手許にない。
西郷の古事記注釈があったので、「速吸門(はやすひのと)」を見ると、普通に「はやすひのと」と読んでいるが、古事記伝の読みには一言も触れない。なお、これは普通名詞であって、古事記では明石海峡のことだという。さすが西郷というかユニークだが、なかなか定説がないというのも万葉集なみだ。